【元葬儀屋】木魚がぁぁぁぁぁ!!

春先には珍しく仕事がこの一件しかない日だった。別の会館員も新人を抱える時期にあり、先輩の流れる様な司会を勉強させる為に数人連れて来ていた。当然俺は先輩のサブで入る事になり、少し調子に乗っていたw
今回の登場人物

毎度お馴染み、司会の鬼 先輩

困った時の献茶の神、 オバちゃん

鬼の金魚のフンw 俺

浄土系寺院の壮年の導師夫婦 嫁&旦那

チョイ役ながら毒吐きクソ野郎 新人

その他多勢がいるが、できるだけシンプルに行きたいと思う。

タイトル通り、嫁&旦那が大変な事になる。

先輩「お前、調子乗るなよw」
俺「いやいや、流石にここはビシッと決めとかないとw」
何て余裕ブッこいた会話が出来るのは、見学で調子に乗ってるだけではないのだ。
嫁&旦那は俺が入った時から幾度となく仕事を共にした中で、お互い寺打ちすら茶飲み話で流す程の仲になっていた。
何故嫁が常に居るかと言うと、旦那は酸素ボンベ必須の病人だったんだw

新人「へー、ここの支部は前で司会しないんですね」
俺「地域の風習があるからそうしてるだけだよ、必要なら前でマイク持ってやるし」
新人「あんたに聞いてないよ」
俺「ぐぬぬっ!」
先輩「wwwwwwwww負けだなwww」
俺「負けとかそんな話じゃないっしょ!目上を敬う態度は⁈」
先輩「お前、古株さんを前にして同じ事言えんの?www」
確かにwwwすんません。

少しイライラしながらも開式し、通夜が始まった。
んーwww先輩、相変わらず素晴らしい司会っぷりwww抱いてくれw
実は式中、先輩ですら気づかなかったが、オバちゃんだけは異変に気付き出していた。
だからオバちゃん、休みないんだよwww
まぁ、何かあったら無理矢理俺も呼ぶがwww

その異変とは、嫁の数珠。
いつもは旦那の肺活量が足りない為に、嫁が読経のサポートをしている。
勿論主要な作法は旦那がするが、嫁の太ましい肉体から繰り出される読経と数珠切りは旦那を凌駕していた。
しかし、今日はどうにも歯切れが悪い。
俺の立ち位置から見ても数珠切りがイケてないのはすぐわかった。
俺(?女の子の日か?嫁)
位にしか感じず、先輩もその程度の印象だった。
クソ野郎新人には悔しいが、こういう事態が発生すると、後ろ司会は脆い…。
ムカつくが認めざる負えん、クソが。

どうも数珠の糸(正確な名前があるが忘れたwww)が切れかけていたようで、オバちゃんはいつでも前に出られる様にスタンバイしていた。
流石www抱いてやってもいいぞwww
先輩には既に連絡済みで、早目に焼香を廻す様になった。
その間は力一杯の読経をしなくても済むからだ。
ただ、僧侶が持つ数珠と一般人が持つそれとは珠の一つが値段が違う。
バラバラになられた日には、職員総出で拾いまわらなければいけない羽目になる。
しかも見学者、あの新人の前ではやりたくなかった。

しかし、仏様と笑の神様は俗物の俺の予想を遥か斜め上を行く事態をしつらえてくるていたwww
要らんわwww

恐れていた事態、球が切れて散るにはそう時間はかからなかった。
幸い早めのサポートで珠はおおよそ回収、代品も辛うじて嫁に渡せた。
そこで皆は安心してしまった…。
旦那の木魚と鐘座布団の間に珠がはさまっていたことにwww

旦那が木魚叩く→珠を支点にズレる。
を何度か繰り返し、本人も気付くレベルまで達して来た。
しかし、読経中に割り込んで木魚を直せるはずもなく、旦那に任せていた。
俺(仮に気づいてなくても近々空振りかますなwww)

空振りはたまに見かけるんだが、坊主が叩く位置を調整したり手で引寄せたりして予防するのが常で、献茶や会館員が手を出す事は基本ない。

しかし今日は違っていた。数珠が挟まり、上手く手前にズレなかったwww
いつもなら冷静な旦那も嫁の数珠が切れた事で少なからず嫁を気にしていたようで自分の手元がお留守になっていた。

ぽく
ぽく
ぽく
ぽく
スカッ ガッ

スカした撞木(木魚叩く棒ね)が鐘座布団に
クリーンヒット‼︎‼︎

旦那「嗚呼あぁぁあぁあ~木魚があぁぁァァ…!」

静寂広がる会館に響き渡る木魚の転がる音と、旦那の悲鳴www

旦那、マイク素通しですよwww

それは俺が喪主でも吹くわww

それだけならオバちゃん発動でどうにかなったんだが…。

木魚の形って歪つな型だからぐわんぐわん動くのよwww
会館員を嘲笑うかの様に祭壇裏に入ろうとした。
オバ「くっ」
俺(やべっ)

ごろんごろん

嫁の方へ木魚が行ってしまう!

スッ
嫁が立ち上がり、木魚捕獲へ参戦してくれた!

しかし忘れていた。数珠はおおよそしか回収できていなかった事にwww

嫁が立ち上がった瞬間…袈裟の間に挟まっていた数珠がこぼれ落ち、嫁の足元に転がる。

ガッ ずっだーん‼︎

嫁、盛大に転倒www
その太ましい身体がもんどり打ってひっくり返ったwww
旦那「嫁ェェ絵ぇぇえ…」

だからマイク素通しだと何度言えばwwwwww
黙って念仏あげててくれよwww

数珠→木魚→もんどり
の無敵コンボを叩き込まれ、この日ばかりは会館に吉本新喜劇ばりの笑いが発生したwww
見てる方はいいが、当事者は悶絶憤死ものである。

旦那は酸素ボンベ搭載型の為、身動き取れないから念仏あげて貰うにして…。

嫁ェwww

嫁は幸い怪我もなさそうな様子で必死に取り繕いながら法衣を整え、何事もなかったかの様に読経を始めたwww
ここにプロ根性をみた気がした(´;ω;`)

オバ「失礼致します」←またも超冷静w
拾い上げた木魚を旦那の側に再度据え置き、何事もなかったかの様に焼香台を移動させ始めたwww
あんたネ申やwww
まぁ、俺は余りの事に木魚を拾おうとした姿勢で固まってましたけどねw凡人には荷が重すぎるわwww

その一連の動きを確認した先輩は、これまた何事もなかったかの様に焼香アナウンスを始めた。

何だこの空気www当事者は必死に冷静を装ってるけど会場のクスクスが止まらないwww中にはもう一山欲しそうな笑いに貪欲なバカもいた。
見たいなら吉本行って下さいwww

しかし嫁&旦那、完全に持ち直して通夜を完走してくれた!

一時はどうなるかと思ったが…。

しかし、あの二人は喪主の前を通って会館を後にしなければならない。
会葬客への立礼と坊主の退館時間がどうしても被るwww

俺「大丈夫っすかね、あの夫婦」
オバ「さっと抜けたら大丈夫でしょ」
新人「僕なら自殺ものですけどね」
俺・オバ「」
先輩「葬儀にトラブルなんてつきもんだ。そんなので死んでたら葬儀屋も坊主もいなくなるわ。それを回避する努力と技術の裏打ちがあって始めて一人前なんだよ」
新人「」
ざまぁwwwてか先輩、結婚してwww

嫁&旦那がそそくさと控え室から出て来た。
そりゃ居心地悪いわwww

しかし喪主さんは
「ありがとうございました!トラブルもありましたが、必死に故人の為にして下さるお二人に感激しました!(泣)」

あー…。そっちですかwww
心配して損したわwwwwwwてか助かったwww喪主GJ!

終わり

 

 

滑り落ちる腐乱県

年の瀬も押し迫ったある日の夜、担当した告別式も終わり、事務所でのんびり事務処理をしていた。

ぷるるるる…

先輩「はい、○○会館でございます…はい、はい、少々お待ち下さい」

先輩「おーい、今担当持ってないやつ誰だ~?」

課長「儂明日から会議だぞ。」

古株「わいは今持ってないけど休み挟むからパスやな」

新人「持ってません」

先輩「お前には聞いてない」

新人「」

俺「連チャンですか…行きますよ」

担当状況知ってる癖にいちいち聞いてくる処を見ると怪しいな…。